2009年10月23日金曜日

レイモン・ベルール講演会のお知らせ

 来る11月4日、早稲田大学で映画学者、レイモン・ベルール先生の講演が行われます。詳細は下記になります。入場無料・予約不要ということですから、ぜひご参加ください。
 また、先立つ10月31日には、ヨコハマ国際映像祭2009の一環として、ベルール先生の講演「35年後 ── 「見出せないテクスト」再考」とその講演を踏まえたセッション「装置間の争い ── 映像メディアの混淆とその体験」が開催されます。セッションにはベルール先生のほか、関西大学の堀潤之先生、ストックホルム大学のトロン・ルンデモ先生、早稲田大学の武田潔先生が参加されるそうです。こちらにもぜひ足をお運びください。

レイモン・ベルール講演会

映画と写真の出会い
『日曜日の人々』における不確かな2分間

「ヨコハマ国際映像祭2009」の招聘で来日するフランスの高名な映像理論家レイモン・ベルール氏が、サイレンと末期のドイツ・ドキュメンタリー映画の傑作『日曜日の人々』(ロベルト・ジオドマク、エドガー・G・ウルマー共同監督、1930年)を取り上げ、そこに現れる「画面静止」の瞬間を手がかりに、映画と写真の相関について論じます。

講師 レイモン・ベルール(フランス国立科学研究センター名誉研究主任、雑誌『トラフィック』編集委員)

日時 2009年11月4日(水) 15時~17時

会場 早稲田大学文学学術院(戸山キャンパス)第一会議室(プレハブ校舎2階)

主催 早稲田大学演劇映像学会(Tel 03-5286-3631)

協力 ヨコハマ国際映像祭2009

通訳付き 入場無料・予約不要

今野 真

2009年10月18日日曜日

記録映画アーカイブ・プロジェクト ワークショップ報告

今日は、東京大学大学院情報学環が主催する、「たのしい科学 岩波映画の理科教室」に行ってきました。記録映画アーカイブ・プロジェクトが行うワークショップには今回初めて私は参加しましたが、前回の「イメージとしての開発 岩波映画・佐久間ダムを見る」に引き続き岩波映画を特集したこの企画は、一見地味なように見えながらも非常に内容の濃いもので、大変貴重な体験となりました。

計4本の科学映画の上映の他、実際に中学・高校で現在教鞭をとられている先生が模擬授業したりするなど、プログラムの構成にも様々な工夫がなされ、観客を楽しませてくれます(途中、休憩の合図に学校のチャイムが鳴るサービスもありました)。特に『ものの燃える速さ』という映画では、粉々にされた炭に火がつき、それが爆発した瞬間、客席からは驚きの声が上がり、みなさんそれぞれが科学映画の魅力に引き込まれていっていたように思います。

しかしながら、今回のイヴェントで最も印象的だったのは、会場にいた多くの人が同様に感じたであろう、岩波映画製作所OB、牧衷(まきちゅう)さんのお話です。入社試験のエピソードから製作の苦労話、予算の問題など、当時の様子を実に鮮明に記憶されており、牧さんがもつ科学映画に対する情熱がひしひしと伝わってきました。このような話は単に歴史的証言として貴重なだけではありません。牧さんのお話で特に興味深かったのは、DVDという新しいメディアが持つ可能性についてです。科学映画はその性質上、基本的に学校の授業で使われていましたが(あるいは今回上映されたものにはテレビ用のものもありました)、その際、映像をいったん止め、実験の結果を彼らに考えさせたり、議論させたりすることが生徒の理解を促進する有効な手段になる場合があります。当時のフィルム上映の場合には、実際に映写機を一度止める必要があり、牧さんの話では、映写機を止める指示を字幕で示した科学映画もあるということでしたが、DVDが普及したおかげで、映像を止めることが容易になり、これを受けて牧さんが、ようやく科学映画の理想の媒体が現れてとてもうれしいと述べていたことが非常に印象的でした。コーディネーターを務めた佐倉統さんが述べていたように、時代がようやく牧さんの科学映画に追い着いたとも言えそうです。そして、このような科学映画の理想の使用例を実践して見せてくれたのが、長谷川智子さんと櫻井順子さんによる模擬授業でした。

対談相手をなさったフィルムセンター主任研究員の岡田秀則さんもおっしゃていたように、これまで牧さんの話をきちんと聞き、それを伝えてこなかったのは映画史の怠慢であると思わなくてはいけないかもしれません。それほど今回のワークショップは内容豊かであり、文句なしに面白いものでした。次回の記録映画プロジェクトによる企画は「岩波映画と女性」についてだそうで、年明け後に行われるようです。これもまた期待したいと思います。

木原

2009年10月10日土曜日

土本典昭の海へ

転載歓迎ということですので、

明日に開催が迫っているイベントですがここでも紹介させていただきます。


山形国際ドキュメンタリー映画祭2009自主講座

【山猫争議!】
土本典昭の海へ


2009年10月11日(日)22時─24時
香味庵1階奥(山形市内)

ツチモトを忘れるな。記 録映画作家・土本典昭(1928─2008)。その偉業をヤマガタの地で顕彰するのは、ドキュメンタリー映画を愛する者の務めであろう。これは追悼シンポ ジウムではない。遺された映画のいまだ見尽くしえぬ「光」を、映画の歴史・映画の現在へと召還するための、ワイルドキャットなアクションである。その光に みちびかれ、山形の秋の一夜、幻視の党が編まれ、無償の言葉が放たれるのだ。

山根貞男
上野昂志
鈴木一誌
諏訪敦彦
石坂健治
(予定)
中村秀之
藤井仁子


*通訳無し、日本語のみ。
*聴講無料。参加退出自由。カンパ歓迎。

企画:岡田秀則・中村大吾

──以上、転載歓迎。

私は、今年も残念ながら山形に行くことができませんが、
なんだかすごすぎる企画であることは間違いありません。



佐藤

2009年10月3日土曜日

編集会議

昨日、『映画学』の編集会議を行いました。

内容は年内に発行予定の『映画学』第23号に掲載予定の論文の査読です。
同人のものを中心に、お互いの論文に目を通し、内容や体裁、誤字脱字のチェックなどをしていきます。

今年は日本映画と映画理論の特集を組む見通しもでき、意義ある会合だったと感じています。

また、議論は今後の『映画学』の編集・運営体制に及び、これについては同人それぞれに思うところがあり、難しさを感じさせられました。
映画研究という学問をめぐる環境も、『映画学』という同人誌の位置づけも、創刊当時とはずいぶんと変わってきています。そうした変化のなかで、『映画学』は今後どのような役割を担っていくことができるのか、担っていかなければならないのか。そのためには、現在の運営体制や発行形態で十分なのか。

現在の編集代表を務める身としては、疑問や不安はゼロではありません。今後もそうした疑問や不安は消えることはないと思いますし、また、そうした問題意識と改善の意思をなくしては『映画学』は良くない方向に向かっていってしまうとも感じています。

その意味で、今年度は新入生の積極的な協力もあり、そうした問題意識を共有し、改善への歩をすすめることができているという自負もあります。今後も時間と能力の許すかぎり、前に向かって少しずつでも進んでいければと思っています。


あっ、そう言えば、デイヴィッド・ロドウィック主宰のAesthetics and Philosophy of FilmのHPが更新されていましたね。ハーヴァード大学のVESでロドウィック先生自身が開講しているコースのシラバスなども見ることができ、映画学徒としては興味があるところです。
では。

今野真